個人事業主と法人はどちらが有利!?-法人化の目安となる事業利益について-

フリーランスで収入が増えてきた方は、「法人にした方がお得になるかもしれない」とお考えになると思います。そして、「どのくらい利益を挙げると、法人にした方が良いのか」という疑問をお持ちになると思います。
今回は、その疑問について、検証をしていきたいと思います。
フリーランスの方が、個人事業のままでいくか、法人化をしていくかの参考にして頂ければ幸いです。

まず、最初に申し上 げますと 、 個人事業のままでいくか法人化をした方が良いかは、 多くの要素で検討する必要があります 。
しかし、多くの要素を総合的に 検討するという作業は、時間を要しますし、少し骨が折れる作業になります。
そうなると、考えるのを辞めようという思考になってしまうと思います。

今回、私は、次のステップで「法人化のタイミング」を検討して頂くことをご提案したいと思います。

ステップ1 簡易判断
どのくらいの利益をあげると法人化を検討したら良いかの目安を把握する。

ステップ2 総合的判断
税金比較、 社会保険 料負担比較、老齢年金 障害年金 遺族年金、傷病手当金の有無、退職金 などを総合的に検討し、法人化を検討する。

まずは、ステップ1で、法人化を検討した方が良い 利益の 目安を把握する。
そして、その目安に近い利益を挙げた段階で、ステップ2の総合的判断をされると良いと思います。
今回は、上記のステップ1の「法人化を検討した方が良い利益の目安」について、お伝えをしていきたいと思います。

個人事業 主 と法人との 税金の計算方法 の違いを確認する。 どっちが税金お得?

まず、何故、法人化を検討するに際し、「利益」に着目をするのでしょうか。
それは、 個人事業主に課税される所得税が、所得の増加に応じて税率が上がっていく「累進課税制度」を適用しているのに対し、法人に課税される法人税等は、税率が固定される「比例税率制度」が適用して いて、個人事業主と法人で制度が異なることが挙げられます。

個人事業主法人
税金の種類所得税、住民税法人税、法人住民税、法人事業税
課税制度累進課税制度比例税率制度
税率所得税 5%~45%
住民税 10%
法人税
所得 800 万以下 15%
所得 800 万超:23.2%
(資本金 1 億円以下の普通法人の場合)
住民税と事業税を合わせて、おおむね 25~30%

この税金を計算する制度の違いによる税金の金額は、法人化を考える上で重要な要素となるでしょう。
制度の違いにより、同じ業績でも個人事業主がお得になるケースと、法人がお得になるケースが生じてくるのです。
そこで、どちらがお得になるかの目安を以下の表にまとめました。

〈課税所得別の個人事業主・法人の税率比較 表〉

上記の表を見ると、 課税所得 7,000 千あたりが 法人化の目安になると考えられ ます 。

(注)法人を選択した場合、法人から皆様は役員報酬を受け取ることになります。その際に、その 役員報酬に対して、所得税が課税されますので、その分、税金負担額は発生しますが、一方、法人がその役員に支払う報酬は経費にすることが出来、その分、税金を抑えることが 出来ます。そのような細かな要素は、今回の(ステップ1)の目安を把握する段階では、考慮しなくて良いと思います。(ステップ2)の総合的判断をする際には、検討された方が良いと思います。

【ここでの チェックポイント!】
課税所得7,000 千あたりが法人化の目安

課税所得 7,000 千について考える。 結局、 目安となる事業利益 は違いを確認する。 どっちが税金お得?

ここでは、課税所得7,000 千になる事業利益について考えていきます。
そもそも、課税所得 とは 何でしょうか?
おおまかにいうと、事業で生じた「もうけ(利益) 」で す 。
しかし、法人・個人事業主それぞれ、事業利益が直接課税所得になるわけではないのです。
しかし、(このステップ1)では、細かな所は排除して考えていきたいと思います。
その前提で考えて いくと、法人の場合は、利益をそのまま当てはめていきます 。

一方、個人事業主の場合は、利益をそのまま当てはめるわけにはいきません。
なぜなら、 個人事業主の 課税所得は、 「事業所得(事業利益) 所得控除 」 で算出され 、この 「所得控除」 は、金額が大きくなるからです。
つまり、この所得控除によって、課税所得 7,000 千を挙げる為に必要な利益額が変わってきてしまうのです 。
したがって、個人事業主の課税所得を把握するために必要な ご自身のおおよその所得控除額を確認しておく必要があります。

その為の主な確認事項は、以下の通りです。

  1. 医療費はいくら掛かったか
  2. 社会保険はいくらお支払いになったか
  3. 小規模企業共済・ iDeCo の積立はされているか
  4. 生命保険・地震保険はお支払いになられているか
  5. 寄付金(ふるさと納税を含む)はされているか
  6. 扶養さ れ ている方はいるか

上記の事項について、一定のルールに従って、 「所得控除額 」 を計算をして頂ければと思います。

しかし、「そんなルール知らないよ!」「調べるのが面倒だよ!」という方もいらっしゃると思います。
そういった場合は、 (ステップ1)の段階では、 独身の方は 700 千、扶養家族がお一人の 方 (例:奥様を扶養)は、 1,000 千、扶養家族がお二人の方(例:奥様とお子様 1 人( 16 歳以上))は、 1, 500千で仮計算されると良いと思います。
この所得控除額を上記の通りに設定した場合、課税所得 7,000 千になる為のシミュレーションは、下図の通りとなります。

※上図は、所得控除額の詳細な計算を省略したい方向けの簡易シミュレーションになりますので、実際の皆様の確定申告を計算される際の数字と異なってくることをご了承頂ければと思います。
※上記シミュレーションは、青色申告をされていることが前提になっています。

上図をご覧の通り、ケースによって、法人化の目安となる課税所得 7,000 千になる「事業利益」が異なってくることがおわかりでしょうか。

この簡易シミュレーションによると、独身の方は事業利益 8,350 千、扶養している人1人の方は事業利益 8,650 千、扶養している人 2 人の場合は、 9,150 千あたりが法人化の目安と考えられます。
「所得控除を正確に計算したよ!」という方は、以下の方法で計算してください。

例:所得控除1,350 千
① 法人化の目安である課税所得 7,000 千を加算する。
 1,350 千+ 7,000 千= 8,350 千
② 青色申告控除 650 千を加算する。
 8,350 千+ 650 千= 9,000 千

⇒この例の所得控除の方の法人化を考える目安となる事業利益は、9,000 千となります。
月ベースで考えると、 750 千の利益が考える目安となります。

【チェックポイント!】
・法人化の目安を考える上で、 目安となる事業利益を把握する必要がある。その為に、 所得控除の把握 が 重要である!(医療費、扶養、配偶者、社会保険料、iDeCo など)
・所得控除の把握が手間な方は、(ステップ1)の段階では、仮計算をしていただくための数値を使って、計算をしていくことをお勧めします。

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